不動産にかかる贈与税とは?
贈与税は財産を譲り受けた際に発生することがあります。不動産を譲り受けるときはもちろんのこと、不動産を格安で購入する際などにおいても贈与税については知っておきたい知識の1つです。ここでは、贈与税の基礎知識や贈与税の計算方法などについて詳しく解説していきます。
贈与税ってなに?
財産を譲り受けたときに発生する贈与税。現金や車をはじめ、不動産においても課税の対象になります。覚えておきたいポイントは「贈与税は個人から財産を譲り受けた際に発生する」という点です。つまり、法人から財産を譲り受けた場合では課せられません(所得税が課せられます)。贈与税は1月1日~12月31日までの1年間で110万円以上相当(総額)の財産を譲り受けた際に課税対象となります。翌年2月1日~3月15日までに対象者(譲り受けた側)が税務署へ申告書を提出します。
こんなケースでも課税対象になるので注意
贈与税は不動産の名義変更をしただけでも発生します。無償で譲り受けた場合と同じ扱いになるからです。また、親から格安で不動産を購入したケースにおいても贈与税は発生しますので覚えておきましょう。「格安って具体的にどれくらい?」という疑問があると思います。この基準につきましては、不動産売買価格の8割以下で売買されたケースを指します。
贈与税の税率と計算
それでは贈与税を計算してみましょう。贈与税の課税方法は、暦年課税と相続時精算課税があります。それぞれ見ていきます。
暦年課税
暦年課税は、まず贈与額から基礎控除額110万円を差し引きます。この基礎控除後の課税価格に対応した税率が掛けられ、以下の特例贈与財産と一般贈与財産の税率一覧の控除額を引いたものが贈与税となります。
特例贈与財産(20歳以上の方が直系尊属から財産を贈与されたケース)
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
400万円以下 | 15% | 10万円 |
600万円以下 | 20% | 30万円 |
1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円以上 | 55% | 640万円 |
一般贈与財産(上記に当てはまらないケース)
上記に当てはまらないケースにおいては以下の税率と控除額です。
課税価格 | 税率 | 控除額 |
---|---|---|
200万円以下 | 10% | なし |
300万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円以下 | 20% | 25万円 |
600万円以下 | 30% | 65万円 |
1,000万円以下 | 40% | 125万円 |
1,500万円以下 | 45% | 175万円 |
3,000万円以下 | 50% | 250万円 |
3,000万円以上 | 55% | 400万円 |
それでは実際に計算してみます。1,000万円相当の不動産を20歳以上の方が親から購入したケースで考えます。
基礎控除後の課税価格 1,000万円-110万円=890万円
贈与税額の計算 890万円×30%-90万円=177万円
上記の結果になりましたので、贈与税が177万円というわけです。
相続時精算課税
相続時精算課税とは、贈与財産の総額に対して2,500万円の特別控除で差し引きして、残金が課税対象になるといったものです。この方法には条件があります。それは「60歳以上の親や祖父母から20歳以上の孫へ贈与されること」です。
夫婦間であれば控除を受けることが可能
夫婦関係であれば贈与税の配偶者控除を利用できるケースがあります。夫婦間控除と呼ぶことが多いです。例えば、夫から不動産のプレゼントを妻に贈る場合などに利用することができます。婚姻期間が20年以上であり、居住用不動産(購入費用含む)の贈与であれば、基礎控除の110万円+最大2,000万円の控除が適用されます。また、贈与を受けた翌年の3月15日までに贈与を受けた方が住み続けることが条件となります。
いかがでしたでしょうか。ここまで贈与税について紹介してきました。不動産売買においては必ず知っておきたい知識です。もし不明な点などがございましたら弊社までお問い合わせください。